
前回のコラムでは、企業ごとに異なるやり方で行っていたバックオフィス業務を、業種や業界を超えて共通化し、属人化を避けるシステム導入の必要性について解説しました。今回は、その次のステップとして「プログラム民主化のその先」について掘り下げていきます。
プログラム民主化が進んだ先にあるものとは?
「プログラム民主化」とは、誰もが簡単にアプリやツールを使って業務効率化を図れる時代の到来を指します。特にSaaSアプリなどの登場によって、低コストかつ手軽に業務システムを導入できる環境が整ってきました。
これは裏を返せば、「バックオフィス業務は各社で個別に行う必要はない」という結論にもつながります。つまり、企業の根本的な課題である「人員不足」を共通の仕組みで乗り越えるチャンスが生まれているのです。
中小企業ほど深刻な「人員不足」と「属人化」
人材不足は大企業においても無視できない課題ですが、中堅・中小企業においてはさらに顕著です。限られた人数で総務、人事、経理などのバックオフィス業務を回しているケースが多く、結果として「属人化」や「業務継承の難しさ」に悩まされる企業が少なくありません。
こうした背景を受け、今後の有力な解決策として注目されているのが BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング) です。
BPOとは?なぜ今、中小企業でも必要なのか
BPOとは、企業活動における特定の業務プロセスを、専門業者に外部委託することを指します。これは決して新しい概念ではなく、大企業や外資系企業では以前から活用されてきた手法です。
しかし、中小企業では以下のような理由から導入が進みにくかった現実があります。
- 「うちの規模では委託するほどでもない」
- 「個人情報の外部流出が心配」
- 「社員がいるのに外部にコストをかけたくない」
こうした思い込みや先入観が、BPO導入の足かせになっていたのです。
今、BPO導入が現実的な選択肢となる理由
近年、働き方やビジネス環境の変化により、企業の考え方にも変化が見られるようになりました。
- 「自社の強みにリソースを集中すべき」
- 「ノンコア業務は外部に任せて効率化を図る」
こうした考え方が徐々に浸透してきた結果、特にスタートアップ企業などでは、創業当初からバックオフィス業務をBPOで外注するケースも増えてきています。
中小製造業においてもこの流れを取り入れられれば、自社の人材をコア業務に集中させ、業務の効率化・属人化解消が期待できます。
「家庭の外注化」と「企業のBPO」は似ている
家庭でいえば、家事代行サービスのようなものです。かつては富裕層の専売特許と思われていた家事外注も、今では共働き家庭を中心に一般化してきました。
これと同じように、BPOも特別な企業だけの選択肢ではなく、中小企業にとっても現実的な業務改革の手段になりつつあるのです。
最後に:課題は“マインドチェンジ”
BPOを活用するかどうか。その鍵を握るのは、経営者自身の意識改革です。
「すべてを社内で抱える時代」から、「強みに集中し、外部を活用する時代」へ。企業がこの考え方にシフトできるかどうかが、次のDX推進の成否を分けることになるでしょう。
次回は、この“マインドチェンジ”についてさらに深掘りしていきます。