
ビジネスの現場でも、雑談をきっかけに専門家の方々と法律や制度について話す機会が増えてきました。特に「相続」は、自分にはまだ関係ないと思いがちですが、いざ直面すると戸惑うことが多いテーマです。
今回は、そうした相続の中でも特に重要な「遺言書」について、素人目線ながらも整理してお伝えしてみたいと思います。
※文中の表現には専門的な解釈に誤差がある可能性がありますが、わかりやすさを優先してご紹介します。
■ 前回のおさらい:「高齢化社会が迎える相続課題」
前回は、年々増加している認知症患者の増加と、それに伴う相続のトラブルについて触れました。高齢化が進む日本では、遺産を巡る問題が「他人事」ではなくなっています。
■ 遺言書は「未来への手紙」
今回のテーマは「遺言書」。
「遺言書」と聞くと、どこか重たく、ネガティブな印象を受ける方も多いかもしれません。自分や家族の“最期”を想定するのは、確かに気が重い話題です。
ですが、視点を変えてみると、遺言書は「大切な人たちに向けた未来へのメッセージ」とも言えます。
法的にも、遺言書は「本人の意思が何よりも優先される」という最上級の意思表示として尊重されます。
だからこそ、ただの“紙”ではなく、“想い”を届ける手紙として、前向きに捉えても良いのではないでしょうか。
■ 遺言書の種類と特徴
遺言にはいくつかの種類があります。ここでは、代表的な3つをご紹介します。
① 自筆証書遺言
遺言者本人が全文を手書きし、署名・捺印する形式。
法務局で保管してもらう制度もあり、費用を抑えながら手軽に作成できるのが特長です。
ただし、形式ミスがあると無効になるリスクもあるため、注意が必要です。
② 公正証書遺言
公証人が本人の意思をもとに作成し、公証役場で保管する形式。
専門家と相談しながら進められるため、法的に確実で安全性が高い方法です。
作成には多少の費用がかかりますが、将来のトラブル回避という意味でも、安心感は大きいです。
③ 秘密証書遺言
内容を誰にも知られたくない場合に選ばれる形式。封印して保管することができます。
ただし、形式を少しでも誤ると無効になるリスクがあるため、慎重な対応が求められます。
■ どの方法を選ぶべきか?
現時点で「確実性」と「安心感」を求めるなら、②の公正証書遺言が最もおすすめです。
専門家のサポートを受けられるため、相続手続きもスムーズに進められます。
一方、今後は①の自筆証書遺言がより一般化していく可能性もあります。
デジタル化が進む中で、電子署名やブロックチェーンによる認証など、よりカジュアルで身近な形の遺言書が普及する日も近いかもしれません。
■ 最後に:未来のために、今できることを
人生の終盤に向けての準備は、避けて通りたいテーマかもしれません。
しかし、誰にとっても必ず訪れる「その時」に備えて、少しずつ知識を持っておくことは、周囲への思いやりでもあります。
知り合いの専門家を紹介もしますのでお声掛けください。
「遺言書」は、あなたの想いと意思を未来に伝える、大切なメッセージです。
この記事がその第一歩になることを願って。