国の政策としても「デジタル人材育成」や「デジタルリスキリング」が重要テーマとして掲げられ
企業においてもDX推進の一環として本格的な取り組みが進んでいます。

私自身も企業向けに人材育成支援を行っていますが、強く感じるのは
「世代によって学ぶべき内容は明確に異なる」という点です。

以前の記事「中堅社員や管理職が学ぶべきデジタルリスキリングとは」でも触れましたが
管理職以上が身につけるべきなのは、個別のツール操作や固有技術ではありません。
求められるのは、経験と人脈を活かしながら全体を俯瞰できる“デジタルリテラシー”です。

今回はその前提を踏まえ、年代別に最適化すべきデジタル人材育成の方向性について整理してみます。

年代別で考えるデジタル人材育成の設計

サラリーマン人生を大きく3つのフェーズに分けて考えます。
・若手から中堅へ(20代〜35歳前後)
・中堅から管理職へ(35歳〜45歳前後)
・管理職およびベテラン層(45歳〜60代)

それぞれに求められる役割が異なる以上、教育内容も当然変わります。

管理職・ベテラン層(45歳〜60代)

この世代については別稿で詳しく述べていますが、ポイントは明確です。
現場レベルの細かな技術習得よりも、
・デジタルをどう経営や組織戦略に活かすか
・人と組織をどう動かすか
・変化をどうマネジメントするか

といった“上位概念”の理解が重要になります。

テクニカルスキルよりも、意思決定と全体設計の視点。
これがこの世代に求められるデジタルリスキリングの本質です。

若手〜中堅層(20代〜35歳)に求められる基礎力

実は、この世代についてはあまり心配していません。
いわゆるデジタルネイティブ世代であり、新しいツールやアプリケーションへの心理的ハードルは
比較的低い傾向があります。
業務システムが苦手であっても、「触ること自体への抵抗感」は少ないのが特徴です。
だからこそ重要なのは、表面的なツール研修ではありません。

この世代に必要なのは、
・業務とデジタルの関係性を理解する力
・データ構造の基礎設計を考える力
・業務フローを整理し、標準化する力

つまり、「使える」だけでなく、「設計できる」人材へ育てることです。

一見ハードルが高く感じるかもしれませんが、「データ構造の基礎」や「業務フロー設計」
といったキーワードを調べるだけでも多くのヒントが得られます。

この基礎力は、あらゆるDX施策の土台になります。
若手のうちにここを押さえられるかどうかで、将来の伸びは大きく変わります。

中堅〜管理職手前(35歳〜45歳)が最も難しい理由

実は最も難易度が高いのが、この世代です。
20代の頃、どのような仕事の進め方をしてきたかによって、大きな差が生まれます。

・受動的(指示待ち型)だったのか
・能動的(主体的)に動いてきたのか
・改善志向だったのか
・現状維持志向だったのか

さらにこの世代は、アナログとデジタルの両方を経験してきた“移行期世代”でもあります。
そのためスキル格差が顕著に出やすく、加えてプライドが邪魔をするケースも少なくありません。
しかし同時に、責任あるポジションに差しかかる重要な世代でもあります。

国や企業が「デジタルスキル強化」の中心ターゲットにしているのも、この層です。
組織を動かす実務の中核であり、現場と経営の橋渡しを担う存在だからです。

ここは正直に言えば、踏ん張りどころです。
泣き言を言っている暇はありません。必要であれば外部のサポートを受けながらでも
確実に前へ進めるべきフェーズです。

では、この世代はどこから着手すべきなのでしょうか。
この具体的なアプローチについては、次回詳しく掘り下げていきます。