デジタル人材育成の一環として「DX推進リーダー育成」の準備について考えてみます。前回は俯瞰的な視点からテーマを整理し、今回はそれを備忘録として整理していきます。
デジタル化推進「IT基礎知識」
デジタル化推進に欠かせない「IT基礎知識」を整理してみましょう。IT基礎知識を学ぶ際には、IT化以前との対比が理解しやすいでしょう。約25年前の状況を振り返れば、その変遷がより明確に理解できるでしょう。
かつては紙とペンの時代から始まり、次第にワープロへと移行し、手書きから機械文字へと変化していきました。ワープロは一世を風靡しましたが、その後は短命に終わり、PCの時代へと移りました。この時代には、文字表現だけでなく、図形や画像のデジタル化も進展しました。さらに、通信環境の整備により、インターネットや社内LAN、メールなどの利用が広がりました。ハードウェアの価格が下がり、一人一台の時代へと突入しました。
この変化の中で特筆すべきは、紙からの手書きから進化し、消しゴムが使われなくなったことです。同時に、コミュニケーションの手段としても進化し、通信環境の発展もあいまって、PCの普及が急速に進みました。PCは費用対効果という観点からは必需品となり、購入後に用途を考える時代になりました。
この変化は、モノの購入動機に大きな影響を与えました。以前は目的が明確であり、企業などでは費用対効果を明確にする必要がありましたが、PCの普及に伴いその曖昧さが顕在化しました。PCは汎用化され、価格が下がる一方で、購入における費用対効果の判断が難しくなりました。
この急速な変化により、PCは「デジタル化の始まり」とも言えます。特に当時のサラリーマンは積極的に学習しましたが、中には苦手意識を持ち、後回しにする人もいました。その結果、現在ではデジタルに距離を置く層が生まれました。興味を持つ人は積極的に学び、深堀りしていきますが、一方で興味を持たない人は離れていき、二極化が進んでいます。
このような背景を考慮すると、「DX推進リーダー育成」においては慎重なアプローチが求められます。デジタルに興味がない人と興味はあるが学び方がわからない人ではアプローチが異なります。研修や講習を行う前に、参加者の背景やパーソナリティを理解することが重要です。そして、その前提としてIT基礎知識が不可欠です。
今後の展開に向けて、IT基礎知識の学習を通じて、背景や歴史を理解し、参加者に気づきを提供することが重要です。そして、次回からはより専門的なIT基礎知識について掘り下げていきます。