
デジタル庁への提言などと大きく書いてしまい恐縮ですが、あえて問題提起させていただきます。
DXの本質は「個別最適」ではなく「全体最適」によるデジタルの民主化です。企業が独自運用で限界に直面するからこそ、全体最適の視点が必要であり、その意味で「まちの総務」として現場から提言する意義は大きいと考えています。
前回は「個別給与計算の統合化」について取り上げました。
今回は「企業提出情報のDB化(紙の電子化NG)」についてです。
「オンラインなのに紙出力」という矛盾
例えば、マイナンバーカードを使えばコンビニで住民票や印鑑証明を取得できるようになりました。これは第一段階として大きな進歩ですし、利用者として便利さを実感しています。
しかし、ここで生じる根本的な疑問は「なぜオンラインで取得した情報を、再び紙に出力して提出しなければならないのか?」という点です。
行政への提出であっても、紙での提出を求められるケースが多々あります。本人確認さえできれば、本来は行政側で参照すれば済むはずです。効率化されたはずのシステムを利用しても、結局は数百円の手数料を払って紙を提出──利用者にとってはメリットが薄いのが現状です。
本来のDXは「横串」で解決できるはず
納税証明書も同様です。行政内部で横串が通れば解決できる話ですが、管轄や省庁の違いを理由に利用者へ負担を残しているのが実態です。しかし、それは行政側の都合であり、ユーザーには関係のない話です。
ここを解消することこそがデジタル庁の本領発揮の場ではないでしょうか。
「オンラインなのに紙」──これこそDXが取り組むべき本丸です。
紙をなくすために必要なこと
紙の廃止に向けては以下の課題があります。
- 本人確認をオンラインでどう担保するか
- 第三者(司法書士など)による代理閲覧をどう認めるか
- 法制度の見直しがどの範囲で必要か
これらをクリアできれば、将来的には「オンライン選挙」すら可能になるはずです。現状ではまだハードルは高いですが、方向性としては必ず進むべき道です。
まとめ:デジタル庁への期待
「デジタルなのに紙」という矛盾を解消し、企業提出情報をデータベース化することは、DX推進の象徴的なテーマです。小手先の「紙の電子化」ではなく、根本から紙をなくす仕組みを整えることが求められます。
デジタル庁には、ぜひこの課題に真っ向から取り組んでいただきたいと期待しています。
「レッツDX!」
これまでの提言シリーズ
- 企業間商取引の汎用化と中小企業版JANコード化
- 個別会計処理の統合化
- 個別給与計算の統合化
- 企業提出情報のDB化(紙の電子化NG) ⇦今回
- 【番外編】SaaS情報のWeb API連携の標準化
- 【番外編】情報セキュリティ管理は独自運用ではない