デジタル人材育成の一環として、資料整理と内容の精査に取り組んでいます。前回はDXを議論する上で欠かせない情報セキュリティについて解説しました。その際のキーワードは「見えない恐怖を正しく理解する」でした。
デジタル化の最大の恩恵「アプリの民主化」
今回はDXと密接に関わるテーマである「アプリの民主化」について解説します。過去を振り返ってみましょう。かつては業務用の生産システムや業務システムは、大手企業が独自に開発しており、中小企業には手の届かないものでした。
SaaSが市民権を得る
しかし、現代ではどう変わったでしょうか?クラウドやインターネットの進化により、「SaaS」という概念が広く普及しました。
SaaSとは、必要な機能を必要なだけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアやその提供形態のことです。
これらのソフトウェアを自社で開発する場合、膨大な費用がかかります。しかし、経験と技術の進歩により、これらのソフトウェアを汎用化し、クラウド上に配置することで、利用者は必要な分だけ利用できるようになり、その結果、コストが低減されました。これが技術革新(つまりDX)の一環です。
その恩恵で月額の経費で高機能なシステムが、小規模事業者にも普及したのが「アプリの民主化」の背景です。
身近になったプログラム開発
もう一つの例として、プログラム開発を挙げましょう。かつてはプログラム言語を学び、仕様に応じてプログラミングを専門家が行うのが一般的でした。
しかし、近年ではExcelマクロからRPA、そしてノーコードアプリといった、言語を知らなくてもプログラムを作成できる仕組みが発展しています。(例えば、kintoneなど)これにより、システム構築はプログラマーに限らず、少ない知識でも可能になりました。これらも含め、「アプリの民主化」と呼ばれる現象です。
これらの例からも分かるように、システムはますます身近になっています。そして、その利用方法について考えることが重要です。具体的には、自身の業務や職場、会社内の業務とこれらのツールをどのように組み合わせ、活用するかが問われます。
ここまでの内容のまとめ
これまでの内容を振り返りましたが、ITの歴史から始まり、現在の技術まで幅広くお伝えしました。多くの情報が含まれているかもしれませんが、心配はいりません。全てを理解する必要はありません。しかし、今回の解説を通じて、少しは不安が解消されたのではないでしょうか?
イメージとしては、必要なツールが机の上に並んでいると考えてください。
次に考えるべきは、自身の業務や職場、会社内の業務とこれらのツールをどのように組み合わせ、活用するかです。このような発想が重要です。
そして、DX推進リーダーとしての役割は、単にデジタルツールの専門家ではなく、現在の業務における課題や部門間の非効率性などを俯瞰的に捉え、問題提起できるかどうかにかかっています。そのためには、以下のような能力が求められます。
- 社内の業務フローを理解していること
- ユーザーや利害関係者とのコミュニケーションができること
- 経営に近い人々と信頼関係を築いていること
そして何よりも重要なのは、課題を自らのものとして捉え、前向きに解決しようとする姿勢です。
以上のような能力こそが、DX推進リーダーに求められるものです。この能力を意識し、習得することが大切です。
最後に、比較的若い社員(デジタルネイティブが望ましい)に実行を任せることが重要です。「調整の出来る中堅社員と形にする若手社員」このコンビで進む事でより改善、改革は進むと確信しております。先ずはしっかりと中堅社員としての「問題意識、コミュニケーション、調整力」を学んで下さい。
以上の内容を資料に落とし込み研修素材にして行きます。
この座学研修にプラスしてグループ討議の演習にも期待して下さい。
以上、中堅のおじさん、おばさんたち一緒に頑張りましょう。