前回のコラムでは、事務作業の効率化は単なる人員増強ではなく、
「スーパー事務員」の存在が鍵を握るという話をしました。

今回は、その「スーパー事務員」とはどのような人なのかを定義し、
その役割について考えていきます。

スーパー事務員とは?

「スーパー事務員」と聞いても、具体的にどのような人物像なのかイメージしにくいかもしれません。
そこで、私なりの定義をしてみます。

事務作業と一口に言っても、業務内容や得意分野はさまざまです。
ここでは、特に企業の総務部門などバックオフィス業務において、ルーティンワークを中心としたPC業務を担いながらも、改善意欲が高く、自ら変革や業務効率化を推進する人を「スーパー事務員」と定義します。

当然、すべての事務担当者が「スーパー事務員」ではありません。
これは特定の誰かを批判するものではなく、多くの事務担当者と比較した際の違いを示すものです。

事務作業の現状と課題

事務作業にはさまざまな業務が含まれますが、
特に多いのはPCを使ったデータ入力や台帳管理、集計作業などでしょう。
これらの作業は、先輩から教わったやり方や長年の慣習に従って行われることが多く、ミスなく確実に進めることが基本ミッションとなっています。

しかし、日々の締切や作業のプレッシャーの中で、業務を改善する余裕がないという現実があります。
また、「事務作業は代替が効く仕事」と軽視されがちなため、長年にわたり大きな変革が進まなかった背景もあります。

スーパー事務員の特徴

そんな状況下で活躍するのが「スーパー事務員」です。
彼ら・彼女らに共通する特徴の一つは「面倒くさがり」であることです。

「なぜこんな非効率な作業をしなければならないのか?」
「もっと効率よくできないか?」

こうした疑問を常に持ち、より良い方法を模索し続けるのがスーパー事務員の特性です。
例えば、

  • Excelのルーティン業務を仕組み化
  • 入力データの変換をRPAで自動化
  • 再入力や手作業を極力排除し、確認作業を効率化

など、日々の業務改善に積極的に取り組みます。
場合によっては、独学でExcelマクロ(VBA)やRPAを習得し、業務に活かしているケースもあるでしょう。(ただし、過度な属人化には注意が必要です。)

スーパー事務員の知見を企業全体で活かす

スーパー事務員の課題の一つに「属人化」があります。企業として考えた場合、こうした個人の改善アイデアを、いかに組織全体で活用し、標準化するかが重要になります。

そのためには、

  • 優れた仕組みを外部の専門家も交えて検討する
  • スーパー事務員のノウハウをチームで共有し、汎用化する
  • システム専門家と連携し、業務全体を最適化する

といったアプローチが必要になります。

システム担当者との連携で業務を最適化

システム担当者はシステムの設計や開発はできますが、現場の課題をすべて把握しているわけではありません。一方、事務担当者は業務の実務には精通していますが、改善アイデアが不足しているケースも少なくありません。

そこで、「スーパー事務員」が両者をつなぐ役割を果たします。
スーパー事務員のアイデアをシステム担当者が具現化し、業務全体の最適化を図ることができるのです。

この際、必ずしもオリジナルのシステム開発が必要なわけではありません。SaaSなどの汎用ツールを活用したり、ノーコードツールを組み合わせることで、柔軟な対応が可能です。それでも足りない場合に、初めてオリジナル開発を検討すればよいでしょう。

まとめ ~ルーティン業務の改善から始めよう~

多くの企業のバックオフィス業務は、この方式で仕組み化が可能です。まずはルーティン業務から改善を進め、継続的な効率化を目指していきましょう。

今後も具体的な改善事例を、本ブログでシェアしていきます!